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  吾輩はYUUKIである。名前はこの通りだ。二人の出会いは見当もつかぬ。否、そんな事は無い。それは何でも、ロマンある冬のことである。某SNSでゆーきとユウキは偶然知り合い、吾輩らは撮る、撮られるの関係になったのである。吾輩らはここで初めて互いのYUUKIという存在を知った。二人はこの後、事件が起こる事は予期もしていなかったのである。

 

   その事件のきっかけは約1年前に遡る。ユウキの悪魔の囁きにより、ゆーきが少し高価なカメラを購入してしまったのである。そして、ある日、ひょんな事からユウキが、名前が同じだからという安易な考えから写真展をしないかと話を持ち掛けたのである。そうこれが、吾輩らの、事件というには余りにも陳腐な出来事なのである。

 

   吾輩らは、長く同じ生物の人間と同居し、写真を通して彼等を観察すればするほど、彼等は酷く感情豊かなものだと断言せざるを得ないようになった。彼等のその人間臭さというものを、吾輩らは写真で表現してみたいのである。

 

   こうして吾輩らは、煙草を、顔の真中があまりに突起したその穴から、時々ぷうぷうと煙を吐きながら、吾輩らの写真を見に来てくれる客を待つのである。

 

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